食材の味を最大限に引き出すシリーズ。初回は日本が誇る代表料理『白米』。

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こんにちは、Masaboです。

以前猛威を緩めない新型コロナウイルスですが、日本では先日主要都市を中心に緊急事態宣言が発令されました。まだ日本では制限はあるものの飲食店の営業が許可されていますが、現在飲食業は危機的な経済ダメージを負っており僕の地元でもかなり深刻な状況のようです。


そんな中、同市では市と飲食店などが協力してテイクアウトとデリバリーのサイトを立ち上げ外食自粛している皆さんに美味しい料理で少しでも自宅での時間を楽しいものにしてもらおうと活動をしています。

僕自身は現在オーストラリアに在住しており、勤務先のレストランではテイクアウトのみの営業をしています。正直日々の売り上げは厳しいものがありますが、そんな中何度も足を運び来店してくださるのが常連さんです。本当に助けていただいています。いつか普段の営業ができるようになった際には全力でおもてなしをして恩返しをしたいと思います。

みなさんも外食の機会が減ってきているかとは思いますが、全国各地でもテイクアウトを始めているお店は多いかと思います。もしお気に入りの飲食店があれば是非利用してみてはどうでしょうか?自宅で自分の好きな料理を楽しめると共に、それが今の飲食業の助けになるはずです。


とは言え、経済的にも外食、テイクアウトばかりする訳にはいかないかと思いますしそれに伴い自炊する機会も増えているかと思います。そして今回僕が皆さんにご紹介するのが『お米の味を最大限に引き出す炊飯方法』です。米と言えば日本が誇る代表料理であり宝でもあると思っています。海外に出てきて他国の米を食べる機会も多いですが、個人的には日本のお米には敵わないですし、炊飯方法(炊飯器含め)に関しても日本のスキルはトップだと思います。が、しかし日本人の方でも米を研いで炊飯器に入れてスイッチポンして終わりという方も多いかと思います。

これを機にお米のさらに美味しい炊き方、知識を身につけて自宅での食事をよりいっそう楽しいモノにしてみませんか。

ここではご家庭での方法にフォーカスしてお話しますが、もっとマニアックな情報も改めて別の記事で紹介したいと思います。

お米を炊く上で大切な事

お米が炊き上がる原理を知ろう


まずはお米が炊き上がる原理ですがざっくりいうと下記のようになります。


米にしっかり水分を吸収させる → 熱で米を膨張させる → 糊化(α化)する → 出来あがり


糊化(α化)ですが、これは米の約75%を占めるデンプン質を水分と熱によって粘化させ消化しやすい柔らかい、そして甘いお米にする事です。

ここでポイントなのがお米にしっかりと水分を吸収させる事です。お米の水分量が足らなければ芯の残る硬い仕上がりになってしまい、甘さや艶も物足らないものになります。

旨い米とは


すなわち、旨い白飯とは米に適量の水分を吸収させ、適切な火加減で糊化させ甘みとふっくら感、艶がしっかりと引出されたものと言えます。
火加減はほとんどの家庭では自動炊飯器が調節してくれるので心配はないと思います。ので米の研ぎ方、水の使用量と浸水時間、そして後で紹介するちょっとした調味料を加える事でお米の美味しさを最大限に引き出す事ができます。

実は使用用途によって炊飯方法が変わりますよという話


お米の仕上げ具合ですが使用用途によって違います。今回紹介する方法はあくまで炊飯後に調理せずそのまま食べる事を前提に書いています。もしおにぎりで使用するのであれば少し硬めの仕上げにした方が良いと思いますし、お弁当に使用するなら大抵の場合は冷めてから食べると思うのでしっかりとした水分吸収は必須です。チャーハンや雑炊、お茶漬けなど炊飯後に加熱するものに関してももちろん調整が必要かと思います。最終的には好みの問題ですがご参考までに。

使用するお水の種類は?


本音を言いますと使用する水で味が格段に良くなるという事はないと思います。ただ使用する水が米の美味しさを引き出すというのは科学的に見ても事実ですし僕もそう思います。

一般的に炊飯に良いとされているのは弱アルカリ性の軟水です。関東、関西で若干の違いがあるようですが日本の水は中性の軟水です。なので水道水を使用しても全然問題はないのですが、ミネラル水等の弱アルカリ性軟水を使用する事でお米の味をさらに引き出す事ができます。


水も同様にチャーハン、パエリア等は硬水を使用して硬めの仕上がりにするなど用途によって使い分けます。

最先端の炊飯器


よくガスや釜や土鍋で炊くご飯は美味しいと言われますが、理由は火力と熱伝導によるものです。一般家庭ではあまり使われてないかと思うのでここに関してはまた後日の記事にて解説したいと思います。ちなみに今自分が働いているお店ではガスを使用した鉄羽釜を使用しています。火力が強く熱伝導が良いため艶のある甘い米に仕上がります。ただ欠点としては火力のコントロールや季節による気温の違いによって水分量なども調節しなければいけないので慣れないスタッフが調理すると失敗してしまう事もあります。


その点、最近の炊飯器は圧力IHなど火力の強いものが多く揃っており米の種類などによっても火力を調節してくれたり、中には一升炊けるものもあるそうです。科学の進歩ですね。ただガス炊きなどは自分で細かい火力の調節が可能なのである程度の経験はいるものの自分好みの炊き上がりにできるというのも一つのメリットと言えます。

お米の炊き方


まずは米と水を計量します。この時重要なのが正確に計量するという事です。よく水の量は米の表面から人差し指の第一関節くらい、もしくは炊飯器の目盛りを使う方が多いと思いますが、個人的にはその都度計量器を使って正確な分量を量ることをオススメします。もちろん毎回仕上がりに多少のバラ付きがあっても気にしなという方はそれでいいと思います。が、今回はお米の美味しさを最大限に引き出す事が目的です。水分量の少量の違いでも仕上がりに影響してきますので最高のお米を炊きたいのであれば計量器を使用してください。これは働いているレストランでも徹底しています。では今回準備していただくものは...


米150g(1合)に対し水200ml(g)。 が基本分量となりますが、もちろん毎回米の水分含有量が同じではないですし米の種類、季節、新米、古米、またお持ちの炊飯器によっても若干の違いが出てきます。まずはこの分量で試していただき、仕上がりを確認してその後はご自身で分量調節をお願いします。


米の栽培技術の進歩により昔と違い新米と古米の水分含有量の違いが少なく水分量は同じでも良いという話を聞いた事がありますが、僕個人としては従来通り新米の場合は1合につき10ml程度減らす事をオススメします。これはあくまで僕の経験からですが、やはり未だに新米を使用する際は水分を減らさないといつもよりべちゃっとした仕上がりになるからです。判断はご自身にお任せします。

研ぎ方

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米を研ぐ際はボールとザルを使用して下さい。これに関しては研ぎ水を捨てる際に素早くできるからです。

1回目の洗いは水を予めザルとボールの中に用意しておき、それから米をその中に入れて洗いを開始して下さい。米は水分に触れた瞬間から水分吸収を始めるので特に初めの洗いは素早く行い米に付着している糠や油の嫌な臭いを吸収させないようにしましょう。また、近年の精米技術の進歩により肌糠が少なくなっているのでゴシゴシと洗う必要はありません。指先で優しく回すように5〜6回程洗うのを3回繰り返せば大丈夫です。

洗ったお米は水分をしっかり切り素早く浸水の工程に移ります。水分を切るために長時間放置しておくと米が乾燥して割れ、べちゃべちゃした仕上がりになります。

浸水

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夏場と冬場では浸水時間が違います。これは水温が関係していて水温が高いほど吸収が早いので夏場の方が浸水時間が短くなります。ただ、真夏は室温などが高い場合がありそのまま放置しておくと米の表面からデンプン質が溶け出してしまう事があるので冷蔵庫内(5℃前後)で1時間30分から2時間ほどが行うのが良いです。冬場も1時間30分から2時間ほどがベストです。因みに2時間以上浸水しても飽和状態となるので意味がありません。

炊飯

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さて、あとは炊飯器にセットして炊飯を開始するだけですが、その前にもう一手間。米1合につき5ml程の日本酒を加えます。これにより日本酒の糖分が作用し甘みとふっくら感が増し、古米などは糠の嫌な臭いを消してくれます。使用する日本酒は香りの良いものを使うと炊き上がりの風味が増し更に美味しくいただけます。みりんを使用しても良いですが僕は日本酒をオススメします。またもし手に入れば煮沸殺菌した備長炭を一片、米の表面に置くと遠赤外線効果や炭のミネラル、弱アルカリ性が作用してさらにさらに美味しくなります。

シャリ切り

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炊飯後はしゃもじで米を潰さないよう切るようにかき混ぜ、米の仕上がりを均一にするのと余分な水分を飛ばして引き締まった米にしてあげます。あとは美味しくいただくのみです。


以上の工程で炊けば冷蔵、冷凍保存し再加熱した際もいつも以上にふっくらしたお米がいただけます。ただ、冷蔵、冷凍保存する前に冷まして粗熱を取るかと思いますがあまり冷ましすぎないようにして下さい。せっかくの水分が蒸発し過ぎてお米が乾燥してしまいます。ラップで包んだお米がご自身の手で持てるくらいの温度まで下がれば十分かと思います。


僕がメニューを考える際に大切にする事は素材の特徴をしっかり引き出し活かしてあげるという事です。それは同じ素材でも下処理や調理法、器材も季節や状態に応じて変えていく必要があります。また科学の進歩などにより従来当たり前とされていた事が当たり前でなくなってきている事実もあり、常に知識、情報のアップデートを行っていかなければ時代に置いてかれてしまいます。ただ、この終わりなき勉強と言いますか、奥深さがまた料理をする楽しみになっています。

他の食材の味を最大限に引き出す方法も今後紹介していきたいと思っています。もしよければ読者登録してみてください。


本日もお付き合いいただきありがとうございます。

Masabo